福岡県北九州市 料亭 金鍋

「文明開化の味」伝承 八丁みその牛鍋

 幕末の開国とともに日本へ入ってきた肉食の文化。明治5年に明治天皇が牛肉を食べ、全国で牛肉を食べることがブーム化したという。金鍋は明治初め、小倉港近くに九州初の牛鍋屋として誕生。小倉城に駐屯した歩兵連隊を中心に親しまれた。
 「冷蔵庫がなかった当時の牛肉は、みそ漬けが唯一の保存法。だから牛鍋の味付けはみそ味しか選択肢がなかったんです。また豆みそは牛肉によく合う。八丁みそをだしで溶いて、その中に角切りの牛肉や野菜を入れて煮て、お客さまにお出ししています」と真花宏行亭主。肉は佐賀県伊万里市の「伊万里牛」。サーロインを八丁みそで炊き上げる。レベルを上げながら120年以上にわたり〝文明開化の味〟を今に受け継いでいる。
 明治28年に洞海湾の北岸、若松(北九州市若松区)に移転し料亭となる。当時の若松は石炭の積み出し港として活況を呈しており、金鍋も多くの客でにぎわったという。建物は一度焼失したがすぐ再建され、黒漆喰の重厚な外観の本館と丸太を使ったしゃれた表門は平成16年、国の登録有形文化財となった。中に入ると和と洋が調和した、大正期のモダンな造り。後に映画化された小説「花と龍」を書いた作家・火野葦平(1907~1960年)は店の常連で、お気に入りだった部屋は「葦平の間」の名が付いている。
 名物の牛鍋だけでなく、玄界灘の荒波にもまれた魚を使った懐石料理やふぐ料理も捨てがたい。10月から3月はとらふぐが美味。北九州の近代史と文明開化の味「牛鍋」、玄界灘の魚を一度は味わいたい。

平成16年、国の登録有形文化財となった建物。黒漆喰の重厚な本館。館内は、和と洋が調和した、大正期のモダンな造り。

「葦平の間」。後に映画化された小説「花と龍」を書いた作家・火野葦平は店の常連客。お気に入りだった部屋は「葦平の間」の名が付いている。

お食事

今に受け継ぐ“文明開化の味”。佐賀県の伊万里牛を使い八丁みそで煮る。120年以上にわたる金鍋の名物料理。

玄界灘の魚と、牛鍋のフルコース。料亭の歴史と味を堪能できる。

味覚の王様、本とらふぐのフルコース。地元ならではの新鮮な味わいと食感。

金鍋の辛子明太子は、釧路産の新鮮なタラで取っただしに、羅臼昆布をふんだんに使い、時間を惜しまず漬け込んでいる。さらに、奥深い旨味をそえるのが九州を代表する酒蔵、酒王窓の梅の純米大吟醸。金鍋の職人が、何ひとつあきらめずに究極の味を求めた大吟醸辛子明太子。

周辺観光のご案内

高塔山公園
高塔山公園 。公園の展望台から若松や戸畑区を中心とした夜景が見える。ライトアップされる若戸大橋や工場群が印象的。あじさいの名所や夜景スポットとしても知られる。
http://www.city.kitakyushu.lg.jp/wakamatsu/file_0014.html

旧古河鉱業若松ビル
旧古河鉱業若松ビル。若松バンドといわれる港湾地区で、最も有名なレトロ建築。2004年に大がかりな改修がなされ、現在はコミュニティーホールとして活用するとともに一般公開されている。入場無料。
http://fkw.jpn.org/

店舗情報

  • 所在地
    福岡県北九州市若松区本町2-4-22
  • 営業時間
    午前11時~午後3時 午後5時~午後10時
  •  
    不定休
  • 問合・申込
    093-761-4531
  • アクセス
    JR若松駅から徒歩約3分 JR戸畑駅からから車で約5分
  • WEBサイト
    http://www.kinnabe.com/