黒石城跡の御幸公園すぐ下に広がる緩やかな傾斜地に、緑豊かな木立に囲まれた山紫水明の景観の中にたたずむように建ち、自然の庭園の環境に共生する建物という風情さえうかがえる。
創業は明治28(1895)年。約120年前から現在の地で営業を続けている。昭和の初め、黒石市に13軒の料亭があったが、今では歴史を重ねる百年料亭は同館のみ。車で10分ほどの弘前市にもない。
富士見館の名は、館内から一望できる秀峰、津軽富士・岩木山の雄姿に由来する。創業当時は、住み込みの舞妓もいて、大地主の旦那衆が人力車で日参、当時の政治的な数々の決め事はここで決まったといわれている。秩父宮殿下がリンゴの試験場を視察でご訪問された際に食事を提供した、格式ある料亭としても知られている。
地形をうまく利用した立地は、上の川から水を引いて滝と池が造られ、コイが泳ぐ流れは、建物の中を通って下の川につながっている。館内に池をまたぐ構造の廊下があり、それは磨き込まれたケヤキの太鼓橋になっている。戦前には庭池に小粋な屋形船のしつらえもあり、人気を集めていた。
日本海、太平洋、陸奥湾と三方を海に囲まれた青森県は食材の宝庫。その日の市場で仕入れた食材を使い、有田焼の窯元から取り寄せた器で提供する。4代目大舘むつ子おかみは「重要視しているのは料理と施設の趣。日常の喧騒を忘れて趣のある佇まいの中でゆっくり新鮮食材と旬のものを味わい楽しんでもらえるよう、今後も料亭文化をしっかり守っていきたい」と心意気を語っている。
お食事
周辺観光のご案内
黒石ねぷた祭り
50台以上のねぷたが出陣する県内一の運行台数を誇る。人形ねぷたと扇ねぷたとが入り交じり、特に高欄の付いた人形ねぷたの造りは、古い歴史と格調を感じさせる。
http://k-jc.com/neputa/
中町こみせ通り
中町こみせ通りは、藩政時代から今に残るアーケード状の風情のある通り。高橋家住宅(国の重要文化財)を中心に、造り酒屋、蔵などが並ぶ。こみせとは、雪や雨をしのぐために作られたアーケード状の通路のことで、雪国特有のもの。
http://kuroishi.or.jp/sightseeing/komisedoori
店舗情報
- 所在地
青森県黒石市袋井2-63 (御幸公園下) - 営業時間
午前11時~午後10時 ランチあり 不定休 - 問合・申込
0172-52-8851 - アクセス
弘南鉄道弘南線黒石駅から徒歩約10分 - WEBサイト
http://fujimikan.jp/