長崎県長崎市 料亭 一力

維新の息吹残る老舗 長崎ならでは卓袱料理

 日本の歴史の大きな転換期となったともいえる、長崎県に通商を求め黒船が来航した頃の文化10(1813)年、大村藩士・山本保助が当時、毛皮商を営んでいた唐の陳健の屋敷を買い取り開業したのが料亭「一力」だ。創業から200余年を超える老舗中の老舗。
 時代はまさに幕末から近代日本に向かう〝黎明期〟。全国からきら星のごとく維新志士らが集い、日々「日本の夜明け」に夢と議論を戦わせた。明治期以降は数多くの文化人らがのれんをくぐった。
 同料亭のもてなしは三つの「間」に凝縮される。一つ目は四季折々を感じさせる生け花や掛け軸をあしらった部屋の空間の「間」、二つ目は料理を出す絶妙のタイミングの「間」、そして客との会話の「間」だ。「〝間〟というのは全てのおもてなしに通じていると考えます」と山本きよみ社長兼おかみ。
 長崎が発祥とされる和、中華、阿蘭陀の「和華蘭文化」が活かされた卓袱料理が堪能できる。砂糖文化の同地ならではの、やや甘めの味付けで長崎独特の食文化を楽しめる。名だたる勤王の志士たちが円卓を囲み、卓袱料理を食したあの熱い時代がよみがえってきそうだ。
 山本おかみは「これからも守り続けたい料亭文化。旅行や人生の節目に利用していただける空間として残していきたい」と話す。

創業200余年を越える老舗。維新志士らが集い、日々「日本の夜明け」に夢と議論を戦わせた。

あらゆる時代、あらゆる時節、そしてあらゆる人々をもてなしてきた料亭「一力」。それぞれの趣をたたえた部屋。

風頭公園の坂本龍馬之像。高杉晋作や井上馨、そして坂本龍馬など、新生日本の立役者たちも名を連ね、この「一力」の円卓を囲みながら熱い議論を交わしたといわれている。

お食事

和、中華、阿蘭陀の「和華蘭文化」が活かされた卓袱料理が堪能できる。それぞれに趣向を凝らし、季節感を取り入れ、目にも舌にも味わい深い料理でおもてなし。

姫重しっぽく。卓袱料理にかかすことのできないお料理を贅沢に三段重に詰め、気軽に楽しめる昼限定メニューもある。

周辺観光のご案内

グラバー園
グラバー園は国指定重要文化財の旧グラバー住宅など、市内に点在していた明治期の洋館を移築復元したもの。園内にはいたる場所に花壇が配され、四季折々の花々を愛でる喜びを味わうことができる。
http://www.glover-garden.jp/

出島
出島は、鎖国時代の約200年間、日本で唯一西洋に開かれていた貿易の窓口。現在の出島は、かつて海に面していた水門、西側ゲートから入場すると19世紀初頭の江戸時代から幕末開国後、明治へと時代をたどることができる。
https://www.nagasaki-tabinet.com/guide/63/

店舗情報

  • 所在地
    長崎県長崎市諏訪町8-20(寺町通り)
  • 営業時間
    正午~午後2時 午後5時~午後10時
  •  
    不定休
  • 問合・申込
    095-824-0226
  • アクセス
    JR長崎駅から車で約5分
  • WEBサイト
    https://www.ichiriki.jp/