四季が織りなす豊かな自然と純日本風の木造平屋建てのたたずまいが調和する、岐阜県最古唯一の伝統料亭「萬松館」。個室からの眺めとともに、旬の食材を巧みに使った料理はくつろぎと至福の時に浸れる。
　金華山（旧名稲葉山、標高329メートル）の麓にある岐阜公園内の西側に位置する。「日本の歴史公園100選」に数えられる同公園は明治22年、町民や消防組の協力により完成したといわれる。園内に迎賓館、倶楽部、物産陳列所が建てられ、迎賓館は「萬松館」と称し、官民の会合や内外の貴賓客が迎えられた。同24年の濃尾地震で大きな被害を受けたが、修復された。
　明治から大正、昭和、平成と伝統を紡ぎ、昭和天皇が来県の折にご宿泊されたのをはじめ、数多くの名士賓客が訪れた。
　岐阜城を望むこの場所は織田信長の公館跡と伝えられる。総門のような趣のある門構えをくぐると、そこには約3000坪に及ぶ桃山造りの日本庭園、数寄屋風の離れや大広間を構えた建物。春の花、夏の深緑、秋の紅葉、冬の雪景色と季節に彩られ、全室個室の落ち着いた空間が設けられている。
　料理は飛騨牛や朴葉みそ、長良川の鮎など地元の食材、旬の味覚を料理長自ら厳選して提供。一品一品に日本料理ならではの繊細さと彩りが表れる。